東京にはヘンテコな人がいっぱいいる。でもそういう人たちが「東京から出て行け」と言われていることを聞いたことがないし、自分自身もヘンテコだがそんなこと言われたこともない。「ま、そういう人もいるよね」で終わる。それを「無関心」と感じるようであれば、濃ゆい人間付き合いが待っている地方で暮らした方が幸せかもしれない。多様性を享受する風潮が強まっている現代日本において、既にここでは多様性が認められているのかもしれない。
「東京は全国の田舎者の集まり」と聞くが、本当にそうだろうか。たとえ地方出身者であったとしても、東京に出られるということはそれなりに何らかのエネルギーがあるはず。只者ではないと思われる。
東京は人間の母数がとにかく多く、それだけの可能性が存在するということでもある。街というものも人が構築するものだから、多くが集まる都心の街にはそれぞれのカラーがある。今いる場所が合わないと感じたら引っ越せばいい。東京にはテレビや冷蔵庫の大型家電を買い換える感覚で引っ越しをする人がいる。住みたい・過ごしたいところはフラッと変えていいものらしい。地方民は引っ越しに至る理由や意味を重んじる傾向(進学、結婚、家庭の事情など)があるが、それは改めるべき考えかも知れない。
私が住処(すみか)に選んだ練馬、ここは本当に東京らしさとらしくなさがいい感じに入り混じった素晴らしい街である。恐らく23区で最も「都市農業」に関して先進的な取り組みをしており、人間の生活に欠かせない「食」のありがたさを最も理解している街である。士農工商が逆転してしまった現代社会において、練馬に「大根作ってた田舎町」というマイナスイメージを抱く人は少なくないが、農業の大切さを叩き込まれて生きてきた地方民の自分にとっては、農業と都市の共存共生を掲げるこの街が前衛的に映る。練馬モデルが今後どのように波及していくのか、外から来て住ませてもらってる身ではあるがこっそり見守っていきたい。
東京に来て、いろいろ分かって本当に良かった。