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かまいたちの夜と親父

 「かまいたちの夜」というシリーズのゲームソフトをご存知だろうか。サウンドノベルシリーズの大ヒット推理ゲームで、シナリオライターにガチの推理小説家・我孫子武丸氏を起用している。実家にいた頃にかま2(一部から不評だったらしい「監獄島のわらべ唄」)を泣きべそかきながら全クリしたことがあるが、その時に「血は争えないなぁ…」としみじみ思った。

かまいたちの夜2 監獄島のわらべ唄

かまいたちの夜2 監獄島のわらべ唄

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: チュンソフト
  • 発売日: 2002/07/18
  • メディア: Video Game
 

 親父がまだ家にいた頃、スーファミ版=初出の「かまいたちの夜」をプレイしていた。同シリーズは主人公とヒロインの名前を変更することができ、親父はいつも主人公に自分、ヒロインに母の名前をつけてストーリーを進めていた。

 私は父の脇で何となくその光景を見ていたが、大体たどり着くのはバッドエンド。ヒロイン=母が死んでるか、主人公=父が殺されるか、あるいはその他登場人物含めて全滅するか…だった。いつまで経っても正規エンドにたどり着けない親父を見てはゲラゲラ笑った。親父は推理ゲームが得意ではなかったらしい。なぜ買ったし。

 それから10年くらい経って「かま2」を私がクリアすることになるのだが、その際にスーファミ版が1番難易度が高かったことをファンサイトなどを通じて知った。当時はインターネット黎明館で攻略サイトなんてなかった(あったとしても家にパソコンとインターネットがないから見られない)し、攻略本などが必ずしも全てのソフトにあるわけではなく、発売されるまで待たないといけなかった。

 …いまどキッズは「攻略本」なんて知らないだろう。ソフトと編集担当の力の入れ具合によっては、時に国語辞書並みの厚さ=情報量が記載されている最強の書物だったが、それがあるソフトとないソフトがあった。かまいたちの夜の攻略本は、発売時期を見るとスーファミからプレステに移植された際に発行されたようだ。

かまいたちの夜完全攻略本

かまいたちの夜完全攻略本

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: チュンソフト
  • 発売日: 2002/06
  • メディア: 単行本
 

 つまりスーファミ版のプレイヤーには、ゲームをプレイする以外でヒントがほぼ見つけられない状況だったと言えるだろう。そんな中で親父はクリアを目指して何度も挑戦していた…と考えると、それなりの根性はある人だったのかも知れない。そして好きなことにはのめり込めるタイプらしい。あー、似てしまった。

 余談だが、このシリーズの魅力のひとつは我孫子氏の手掛けるシナリオ。シュールで妙にハイテンションなギャグシーンを小説らしい表現であらわす…という合わせ技で、未だかつて腹筋崩壊を避けられたことがない。選択肢によってはキャラクターを通して自画自賛するシーンが見られ、「推理小説家っていつも眉間にしわ寄せてる人」という印象を覆してもらった(かま2のあるルートを進めると「我孫子先生を知らないの?」と聞かれて「知らない」を選択すると、自身の作品タイトルを挙げ終わるまで延々と出してくる場面がある。最後まで見るのはなかなかに骨が折れるぞ)。私が文章を書く時に影響を受け(てしまっ)た人物の1人である。