夏風邪をひいた。梅雨入りして、急激に気温が下がったからだろう。喉が痛い。頭がボケーッとするのは平時でもよくあることなので仕方がない。人生で経験が少ない病のため適切な対処法がわからず、とりあえず帰宅したら食って寝る生活を送っている。牛になろうが構わない、元気になったら人間に戻る方法を模索すればいい。
ズルズルと症状を引きずったまま迎えた金曜日。まず肌身離さず付けているApple Watchを手首に付け忘れた。普段は弁当、スマホ、仕事で使う道具をどんなに忘れても、Apple Watchは必ず付けるのに…。
続いて、仕事で大量の郵便物を出しに郵便局に行ったが、数量を間違えて切手代を払う。慌てて戻ったら30人くらい待機していたので仕方なく順番を待つことにした。あと2人…のところで「あれ？申告した数量、間違ってない…」ということに気づき、郵便局を後にする。トータルで1時間ほど郵便局に滞在した上に、ちょっと恥ずかしかった。
帰宅途中、心が折れたのでラーメンを食べようと思い立った。スマホで調べると人気のラーメン屋が見つかったので、電車の中で知らないおじさんのエルボーを受けながら向かった。
メニューを見たらノーマルと辛味の2種類が選べるとのことだったので、体温アップによる免疫力向上と喉の荒療治（調子が悪いところを徹底的にボロボロにすれば身体が慌てて治療してくれるだろう、という個人的に昔から取り入れている治し方。普通の人は絶対に真似しないでほしい）を加味して辛味タイプ中盛り、辛さは普通で注文してみた。
スープの上に唐辛子パウダーが山盛りになって出てきた。後で知ったが、その店はカップラーメンになったほどの超人気店で、激辛好きがご贔屓にするところだった。いやー、東京はすごいね。全国区に名が知られてる店がゴロゴロあるんだもん。そういえば仙台でも売ってたわ。買わなかったけど。
頼んだからには残さず食べるのが礼儀。覚悟を決めてスープに唐辛子を溶かし、麺をかき込んだ。3口目から舌がヒリヒリしてきたが、気にしてはいけない。7割を片付けた辺りでお腹が熱くなってきた。間もなく胃から発せられるであろう「こいつヤベーもん入れてきたからストップ出して」という信号が脳へ届く前に、何とか食べ切らなくては…。隣のお姉さんが半分残して店を後にするのを尻目に、黙々と食べる。
ラーメンは味わって食べたいタイプだが、そうも言っていられない。おいしいんだけど、ゆっくり味わっちゃいけない。お腹もいっぱいになってきた。中盛りにしなければよかった。昔は中盛りくらい余裕で食べられたんだけどなぁ。
気合いと意地で全部食べ切ったところで、ダッシュで店を出たらむせた。胃の辺りが熱い。そういえば、駅にコンビニが入っていたことを思い出す。帰る前に飲むヨーグルトを買って飲み、胃と喉を保護しなければ明日何も食べられなくなって死ぬだろう。ヨロヨロしながらコンビニにたどり着き、飲むヨーグルトをレジに持っていった。
「シールで大丈夫です！」
「お支払い方法は？」
「クイックペイで！」
ここで左手首を上げ…Apple Watchがない！！伏線を見事に回収したところで、iPhoneでクイックペイを出して支払い完了。店員さんの「コイツ大丈夫か…？」という顔が忘れられない。
ヨーグルトをすすりながら駅のホームに向かったら、ブラインドのお兄さんが白杖を持ってウロウロしている。声をかけたら「エスカレーターに行きたいんですが、降りるドアを間違えてしまったみたいで…」とのことだったのでエレベーターに案内した。ナチュラルに聞き間違えた。20メートルくらい余計に歩かせてしまった。本当に申し訳なかった。
お兄さんを改札まで送り届け、再び駅のホームにたどり着いた時にはヘロヘロだった。最寄り駅まで戻り、スーパーでアイスと飲むヨーグルトを追加で購入。力尽きてベンチで座ってたら、スーパーの警備のおんちゃんに「閉店の時間なので、ベンチを片付けさせていただきたいです…すみません…」声をかけられて渋々撤退。あのベンチ…動くぞ！
限界を突破し、命の炎を燃やしながらトコトコ歩くが、途中で久しぶりに起動したポケモンGOと最近ダウンロードした魔法同盟（ポケモンGOのハリー・ポッター版）にハマってしまい、アイスが溶けるのも忘れて没頭した。
そんなこんなで何とか帰宅。朝まで爆睡して現在に至る。はー、よく寝た。
夏風邪、ナメたらダメなんだな。人間の正常な判断能力を奪ってしまう。母が引っ越しの際に持たせてくれたアイテムの中に風邪薬があったので、連休中は飲んで食って寝て、早く治るよう善処するしかない。ここまで読んでくださった皆さんもどうか気をつけて。
