このシリーズは、アラサーで仙台から上京した岩崎が食らった数々の受難を記録するものである。
「タクシーの質が仙台より低い」
いや、仙台の質が高いだけかも知れない。
家を出るのが遅くなり、予定時刻までの到着が望めなくなったある日。最後の乗り換えが1駅だけだったので、諦めてタクシーを使うことにした。歩道から手を挙げると、程なくしてタクシーが1台停まってくれた。
「どちらまで?」
「●●×丁目△-□□までお願いします!」
そこはすぐ近くで、5分程度で到着できる見込みだった。仙台のタクシーのノリを想定し「こっち周りの方が今の時間は空いているんで、このルートで行っていいですかね?」という返事を期待した。
が、タクシーの運転手がまず行ったことはカーナビの設定。画面に最短ルートらしきものが表示されたが…え?入れる必要ある?
まぁいいや、とりあえず後は目的地まで運んでもらうだけ。飛ばしてもらえば何とか間に合いそうだ…と思ったが、まさかのスーパーウルトラ安全運転。予定時刻を5分過ぎてもまだたどり着かない。さらに目的地手前の最終コーナーで謎の路地に入り込み、バックで出庫しようとしている外車と鉢合わせ。全く動かなくなったのでその場で下ろしてもらったら「料金は980円です」と言われる。おかしい、7〜800円くらいで済む距離のはずだったが。納得いかないが、タクシー利用を決めたのは私自身。これなら普通に乗り換えて、1駅進んだ方がマシだったのではないか。いろいろな読みが甘かったことを反省しつつ、支払いを済ませて目的地までダッシュした。
あぁ、仙台のタクシーが懐かしい。カーナビなんか使わずとも、運ちゃんが最短ルートを爆走するあの感じ。なぜ、東京よりタクシーが優れているのか。初乗り料金は東京の1.5倍するというのに。タクシーが多くて競争が激しい土地柄、他社(他車?)に勝つため自然とそうなっていくのだろうか…。
走りながら「タクシーを使わなくて良いくらい、次はもう少し家を早く出よう」と誓った。
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