話す必要がないと思っていたのであまり公にしたことがないが、私の両親は私が7歳の時に離婚している。父は現在も生きてはいるはずだが、どこで何をしているか全くわからない状況である。
人としていろいろと問題がある父の存在が、私のコンプレックスの1つだった。周囲にいる父と同じ年頃の男性陣が「子どもの面倒見ないと〜!!」「週末は家族サービスしないといけないんで〜」「娘に彼氏ができたみたいだ…(幽体離脱寸前の顔で)」などと言っているのを見ては「ウチの親父もあんな感じだったら、私ももう少し違ったかなぁ…」と、空虚な劣等感に苛(さいな)まれることが多々あった。
話は変わって、先日の同棲アパート無断解約事件。一応、事の顛末を母に報告した(結構心配させてしまったので)。
「…ロキくんの様子やこれまでの話から察するに、これ以上まともな対話は望めないんじゃ?目の前のできることを頑張って、先に進むしかないさ?」
「そうだよね…って、ん?」
あることに気付く。
「…親父さ、離婚する時に一回ウチに来たよね?」
「いわゆる『協議離婚』ってヤツ」
「直接会って、ちゃんと話したよね?」
「ケジメはきちんと付けたよ」
「その後さ、自分で引越し屋を呼んで、自分で荷物を持って行ったよね?」
「忘れていった物もあるけど…」
「親父って…まとも!!超まとも!!」
「今気づいたの?割と真っ当な人よ。今までなんだと思ってたの?(笑)」
「人としていろいろ問題はあるけど!!偉い!!逃げなかったんだ!!問題はあるけど!!」
「否定しないけど一言多い(笑)」
この気付きを得た瞬間、20年以上胸に引っかかっていた何かがスーッと消えていった。「人として当たり前のことができる」という点に関してのみ、父のことを心から尊敬できようになった。自分にちょっとだけ自信がついた。人間力が求められる現代社会において、これがいかに大切なことか。いろいろ問題はあるけれども。
図らずも、相方のめちゃくちゃな対応がきっかけで知ることになるとは思わなかった。
親父は「あにき」、私は「しかと」のコーナーが好きだったなぁ。