あれから8度目の3.11だ。犠牲者に哀悼の意を捧げるとともに、今もなお生活再建に向けて奮闘する方たちが1日でも早く自立できることを願う。
平成30年・激動の3ヶ月の記録やロキの音信不通などで、現在も見方によってはなかなか厳しい状況に立たされているが、あの日に比べたら100億倍マシである。
個人的に、最近「東北はオワコン扱いされてるんじゃないか」と感じることがある。例えば「全国で講演会や勉強会やります!」というイベントがあったとして、開催地に仙台が大体入ってない。仙台に来ないということは、東北に来る可能性はほとんどない。「東北でそういう講演会をするのは無駄」と判断されているか、東北開催するためのコーディネーターが見つかっていないのかは定かではないが…このご時世、仙台にだってコーディネーター事業を展開している企業くらいはあるはず。前者の可能性が高いのでは、と踏んでいる。
先進的なことを学びたければ「交通費も自己投資」と捉えて、自分たちから東京に赴かなければならない。先日東京に行った際、街中にどことなくオリンピックムードに加えて不思議な雰囲気が漂っているのを感じた。この国の中心では確実に、早いスピードで何かが進んでいる。仙台、東北のゆったりした流れにの中にい続けていては、いつか追いつかなくなるくらい差ができるだろう。
震災直後はあらゆる分野の首都圏の連中が被災地入りしては「震災復興のため」と称してやりたい放題やっていた。うさん臭い講師の自己啓発セミナーが流行したり(首都圏ではとっくに飽きられた人物が、東北にビジネスチャンスを見出して潜り込んでいたのかもしれない)、デカい団体同士が縄張り争いしたり(協働という概念はどこへ行ったのか)、いろんな人種(キャラクター、の意)が代わる代わる登場する様はさながら八木山動物園のようだった。
あの頃で印象に残っているのは、新卒の就職活動で行った某ドラッグストアの会社説明会。人事担当者は「弊社は関東・中部・関西圏を中心に事業展開しておりまして、東北にはまだ1店も出店してないんですね。で・す・が!!被災地のために東北の学生を積極採用することで、復興に貢献したいと思ってます。いつかは東北に出店したいと考えており、その時に皆さんが地元で活躍できるよう、まずは関東圏のお店で勤務していただくことが条件になります」と説明していた。あれから8年、その企業のホームページを拝見したが未だ東北に進出していない。あの言葉を信じ「御社の企業理念に共感しました」などと、おべっかを並べて採用された同世代はいるのだろうか。東北から人材を流出させて、何が震災復興だ。おだづ(ふざける)のもいい加減にしろや。
話がやや脱線したが、とにかく以前の東北はそういった視点では賑やかな地域だった。当時の方が恵まれていた部分があったのかも知れない。…今はどうだろう。少なくとも、うさん臭い自己啓発系講師は見かけなくなった。そいつらに影響された意識高い系の学生らは、日常を取り戻す一般社会の中に埋もれていった。また、当時勢いのあったボランティア団体は撤退か解散か、あるいは活動休止しているところがほとんど。地元の人間が中心の団体も、活動形態を変えながら存続しているところと、全く動いていないところに分かれている。
地域全体の勢いが低迷しているようにも見える。下がってはいないが、さほど上がってもいない。他所(よそ)の真似をすることで満足し、自分たちからクリエイトすることを諦めている気がする。優秀でエネルギッシュな人は東北を出て行った。今いるメンバーだけで、変わりゆく日本に適応できるのか。
私も今、このまま残るべきか一度出るべきか迷っている。首都圏を知る人間とそうでない人間の、物の考え方や振る舞いに天と地ほどの差があることを知らされた。「地元の地域社会に貢献したい」という思考は、マクロ的視点を持つ人間が口にしてこそ活きてくる。ミクロでしか物事を考えられない奴にとってその言葉は「地元に残って甘えたい」としか聞こえない。自分はどっちになりたい?
3.11は毎年いろいろなことを思い巡らせる日になるが、今年はいつもと違う。三十路を目前に控え、心境が変わったのだろうか。いずれにせよ、今年進む方向が私の人生に大きな影響を与えることは間違いないだろう。
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