誰にも会えない帰省だった。
公的手続きのため、仙台にどうしても帰らなければならなかった。だが、基本は東京で暮らしているため向こうで何のウイルスをもらっているかわかったもんじゃない。だから実家には帰らず、玄関にお菓子だけそっと置いてそのまま市内のカプセルホテルに泊まった。マスクは外せなかった。
結婚報告をしてくれた友達にも、Twitterで仲良くしてくれている同志にも、前職で世話になった通称「大阪から送り込まれた勤続25年のターミネーター課長」にも、ほかにも会いたい人がたくさんいたのに、挙げればキリがないのに、誰にも会えなかった。いや、会わなかったというのが正解か。宮城県内のコロナウイルス感染者の多くが「東京行ってきた」「東京から帰ってきた人と接触した」というパティーンらしく、自分が誰かに会うことで新たな事例を追加したくはなかったからだ。
現勤め先の上司が「今回は誰も悪くない」と言っていたのを思い出す。いや、政治的に見てあーした方がよかったとか悪かったとかはあるけれど、そういうレベルの問題のことを言いたいわけじゃない。だから寂しいし孤独である。
人は孤独の中から哲学や文学を生み出せるものらしいが、個人的には今のところ特に何も生み出せてはいない。強いてあげるなら「あつまれ!どうぶつの森」をプレイしたいけどNintendo Switch持ってない。
今夜、東京に向かう夜行バスに乗るが、間もなく緊急事態宣言が発令されるとの報道を見て先を憂うばかりである。ゴールデンウィークの帰省も難しいなこりゃ。いつ実家に帰れるんだろう。